_JPG.jpg)
3月9日(日)
2024トルコ発掘報告会
13:30 ご挨拶 アナトリア考古学研究所の活動 大村幸弘(アナトリア考古学研究所)
13:55 第15次ビュクリュカレ発掘調査(2024年) 松村公仁( 同上 )
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14:40~15:00 休憩 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
15:00 第37次カマン・カレホユック発掘調査(2024年) 大村幸弘
15:45 第15次ヤッスホユック発掘調査(2024年) 大村正子 ( 同上 )
16:30 閉会の辞 大村幸弘
17:15 懇親会
アナトリア考古学研究所の活動
アナトリア考古学研究所では、ビュクリュカレ、カマン・カレホユック、ヤッスホユックの 3 遺跡の発掘調査に並行して、植物考古学、形質人類学、博物館学、考古学のフィールドコースが開催されました。植物考古学、形質人類学フィールドコースに は、主にオーストラリア人とトルコ人学生が、考古学フィールドコースには日本人学生が参加し、2期に別れて行われた博物館学フィールドコースは、トルコの博物館で働く保存修復の若手専門家を対象に、1 期目は紙の保存修復、2 期目は布の保存修復を課題とするコースが開かれました。出土遺物整理、図面制作や資料のデジタル化、報告書の準備などは、継続的に行われています。
なお、今回の報告会には、長年発掘調査を支えてきてくれたチャウルカン村の5人を招待しています。
ビュクリュカレ遺跡はクズルウルマック河西岸に位置し、城塞部とそれを取り囲む都市部からなり、径約 600m の規模を持つ紀元前2千年紀、前ヒッタイト、ヒッタイト時代の都市遺跡です。2009 年に本格的に発掘を開始しましたが、フリ語で書かれた紀元前 15/14 世紀の楔形文字文書(宗教文書)が 2019 年以降毎年出土しています。フリ語の 宗教文書は、これまでアナトリアでは王宮所在地とされるボアズキョイ、オルタキョイ、カヤルプナルの3遺跡でのみ出土しており、これらの遺跡と同様に、ビュクリュカレ遺跡が極めて重要な都市であったことを示しています。
隊長 松村公仁
カマン・カレホユックは、トルコ共和国の首都アンカラの南東約百キロ、アンカラ-カイセリの旧街道脇、クルシェヒル県、カマン郡カマン市の東約 3 キロ、クズルウルマック(赤い川)の支流の側に位置し、アナトリア考古学研究所のあるチャウルカン村の北約1キロにあります。高さは 16 メートル、径は 280 メートルのカマン・カレホユックはアナトリアにおいては中規模の丘状遺跡で、1985 年に予備調査を行い、遺跡には少なくとも紀元後 15 世紀から紀元前4000 年に遡る 5500 年の文化が堆積していることを確認、1986 年に「文化編年の構築」を主目的として本格的な発掘調査を開始し、現在に至っています。
隊長 大村幸弘
中央アナトリアの幹線道路上にあるヤッスホユック遺跡は、南北 500m、東西 625m、高さ 13m の中央アナトリアでも比較的大きな遺丘と、その北裾野に広がる下の町からなります。2009 年に開始した遺丘の発掘調査ではこれまでに鉄器代、中期青銅器時代、前期青銅器時代の3文化層が確認され、2018~2019 年には下の町において、遺丘上の第Ⅱ層中期青銅器時代に平行するアッシリア商業植民地時代 (紀元前2千年紀初頭)の居留区の存在が明らかになっています。2021~2024 年には遺丘頂上部で第 III 層(前期青銅器時代)に焦点を当てた調査が継続されており、これまでに3火災層と5建築層に分かれる遺構群が確認され、紀元前 3 千年紀の中央アナトリアにおける都市の変遷を辿る貴重な手掛りを提示しつつあります。
隊長 大村正子